本展のテーマは、自己と居場所を探す静かな探求です。
方向感覚を失わせるような重たい空間の中で、道は果てしなく巡り、確かさは常に手の届かないところです。 作品群は彷徨う状態にあり、その感覚は青によって表現されてます。 その沈鬱な風景の中で、メインとなる作品はひとつの光として立ち現れ、それは答えではなく、新たな始まり意味として描いてます。
私はロンドンで生まれ、ガーナ、日本、アメリカ、イギリスといった複数の国で育ちました。
13歳までにいくつもの文化やコミュニティを行き来した経験は、私のアイデンティティ形成に深く影響し、常に「外部の存在」であるという感覚を残しました。
異なる環境や学校、社会的な価値観の中を移動する中で、持続的な人間関係を築くことは容易ではありませんでした。馴染もうと努力し続けても、その違和感が完全に消えることはありませんでした。とりわけ日本では、外見によって他者化されることが多く、孤立感と同時に、どこかに属したいという静かな願いを強く抱くようになりました。人々が自然に関係を築いていく姿を眺めることで、社会的・感情的な距離をより強く意識するようになりました。
アートは、そうした経験を未解決のまま受け止めることのできる場所となりました。6〜7歳頃に地元のアートコンテストで入賞したことが、私にとって最初のアートとの出会いでしたが、度重なる移動により継続的に制作することはできませんでした。20歳前後になってようやく、言葉では表現しきれない思考や感情を受け止める手段として、再びアートと向き合うようになりました。
アートが持つ主観性や曖昧さに、私は強く惹かれています。私の作品は、人や人間の存在を主題とすることが多く、他者がどのように世界を見て、関係を結び、共に存在しているのかを理解しようとする試みから生まれています。幼い頃から複数の視点を想像することには慣れていましたが、同時に、その視点が他者との間で共有されることは稀であり、理解できないものを「奇妙」あるいは否定的に分類してしまう傾向が強いことにも気づくようになりました。
絵画やその他の表現活動を通して、私は自分自身の視点から立ち現れる一瞬のつながりを探しています。私の作品は「馴染むこと」を目的とするものではなく、観察と内省を通じて差異の中に意味や関係性を見出そうとする試みです。アートは、私が見て、感じ、考えてきた世界を、自分自身の言葉で形にするための手段なのです。