本展示は、人生を形づくる “静かな交差点(パッセージ)” に焦点を当てた写真展です。
大陸をまたいで撮影された作品群は、世界のさまざまな境界や移ろいの瞬間を見つめ、光と記憶が交錯する旅へと鑑賞者を誘います。
Passages は、私たちの人生にひそやかに影響を与える “すれ違い” や “通過の瞬間” を辿るシリーズです。
それぞれの写真には、光の変化、空気の揺らぎ、そして到着と出発の狭間に立つ人々など、ひとつの “過渡期” が捉えられています。
本シリーズを結びつけているのは、光をひとつの “生きた存在” として扱う、緻密なカラーグレーディングの手法です。
光や色、そしてトーンは、遠く離れた土地同士をひとつの視覚言語として統合し、色調は装飾ではなく、その奥に潜む温度や感情の核心をそっと浮かび上がらせます。
Passages が見つめているのは、光が世界をどのように通り抜けるかということだけではありません。
私たち自身が世界をどう通り抜け、どんな瞬間に “自分になりつつある” と感じるのかということでもあります。
観光客でも地元の住人でもなく、「移行の只中にいる旅人」として存在する、その感覚を探っています。
そこには “空間の通過” だけでなく、時間の通過、記憶の通過、そして言葉(scripture)の通過 も含まれます。
一枚一枚の写真は、空間と時間を越える小さな旅路であり、
ひとつひとつのカラ―グレードは、その記憶の中心にある感情を静かに増幅する行為です。
あらゆる “敷居(threshold)” は、私たちをほんの少しずつ未来の自分へと形づくる場所。
本展は、そんな変化の気配が織り込まれた、静かな旅路の記録です。
2日 17:00-22:00 ※Opening Reception
3日 12:00-19:00
4日 12:00-19:00
Mostafa Douban はニューヨークを拠点に活動するフォトグラファー/カメラオペレーター/撮影監督。
映画・ドラマの大型プロダクションから、世界各地を巡る個人プロジェクトまで幅広く手がける。著名な撮影監督 Eigil Bryld に師事し、High and Low (2025), Caught Stealing (2025), Delhi Crime (2019), You (2019), Succession(2019), Spider-Man (2019) など多様な作品に携わる。
14歳で写真を始め、好奇心と情緒への感受性、そして光への深い理解を軸とした表現を探求。技術的精度と直感的な色・空気の扱いを組み合わせ、生命力と人間味を帯びた没入的な映像世界をつくりあげる。
制作の現場を離れると、世界を旅しながら文化や親密な瞬間を記録する活動を続けている。繊細なエネルギーの探究、瞑想、ヒーリングといった個人的な学びが作品の基盤にあり、視覚表現を通して「つながり」と「健やかさ」を呼び起こすことを目指している。