Sankofa Flora: 音・土・魂とともに — eejebee
Interview

Sankofa Flora: 音・土・魂とともに — eejebee

eejebeeは、音楽と植物、そして記憶が共に育ちあう多感覚的な体験へと私たちを招き入れる。

Interview

Sankofa Flora: 音・土・魂とともに — eejebee

eejebeeは、音楽と植物、そして記憶が共に育ちあう多感覚的な体験へと私たちを招き入れる。

Sankofa Flora: 音・土・魂とともに — eejebee

WPUのギャラリースペースの中では、コンクリートの床や壁が土や緑、植物によって柔らかく包まれている。2つのスピーカーが空間を満たし、没入感のある音が流れる。その音は展示の深みを余すところなく感じ取るのに十分だ。マルチに活動するアーティスト eejebeeは、インスピレーションを求めるだけでなく、「土地」「血脈」「音」との深い再接続のため、世界中を旅してきた。ガーナからモロッコ、エチオピア、東京へ──彼の作品は音楽、瞑想、記憶を融合させた多感覚的な体験へと結実し、それが《Sankofa Flora(サンコファ・フローラ)》である。今回のインタビューでは、eejebeeがプロジェクトのルーツ、植物の癒しの力、そして「あなたとともに、あなたのために成長する音」のビジョンを語ってくれた。

リズムに根ざして

「自分の家は心のある場所だ」とeejebeeは静かに言う。遊牧的なアーティストである彼は、この2年半、東南アジア、アフリカ、南米を旅しながら、フィールドレコーディングを集め、地域社会と交流し、癒しの伝統に浸ってきた。ジャマイカとガーナの血を引き、ロンドンとアメリカで培われた人生を持つ彼の音は、その旅路と同じように折衷的であり、そして意図的だ。祖先の地・ガーナで過ごした時間の中で、転換点が訪れた。デバイスから離れ、自然に囲まれ、断食と静寂の日々を過ごすうちに、内省と再接続のための空間が生まれたのだ。

「都市の中での騒音が植物にどれほど影響を与えているか、私たちは考えない。彼らもまた、私たちと同じようにストレスを受けている。もし、植物が成長できるような音楽を与えたら? そして、私たち自身にも同じことをしたら?」

周波数と葉のあいだに

「Sankofa(サンコファ)」とは、ガーナの言葉で「戻ることで前に進む」という意味を持つ。この言葉を礎に生まれた《Sankofa Flora》は、モロッコでのアーティスト・レジデンシーの中で誕生した多感覚的な展示だ。このプロジェクトは、祖先の知恵、食の自立、植物の叡智への回帰を促すものであり、現代の都市生活の喧騒の中で失われつつあるこれらの知識を取り戻す試みでもある。

eejebeeは、人々が自然とのつながりを急速に失いつつある現実に心を動かされ、その関係を取り戻すための空間を作りたいと感じた。民族植物学者Gary Martinとのフィールドワークや協働から生まれたこの展示は、共同の植栽、音、そして「植物の記憶」という概念を融合している。植物が実際に音に反応する——たとえば、水の音のする方へ根を伸ばす、周囲の周波数を感じ取る——という事実を知ったとき、eejebeeの興味はさらに深まった。そこから彼は、騒音に満ちた都市生活が、私たちの家にある植物、ひいては人間自身にどんな影響を与えているのかを考えるようになった。

ドラミング、プロダクション、サウンドデザインの経験を持つ彼は、「音を聴く」だけでなく、「人間と植物が共に“感じる”音」を探求し始めた。やがてそのコンセプトは単なるアートインスタレーションを超え、癒しの実践であり、静かな革命であり、そして私たちと生きものとの共生を周波数・意図・思いやりによって育むというメッセージへと進化した。

「僕たち、人間、自然、そして音——それらの間には共生がある。その感覚を人々にも体験してほしい。」

What's Next for eejebee?

これは、始まりにすぎない。《Sankofa Flora》はeejebeeの旅の中で重要な節目だが、そのビジョンはギャラリーの壁を超えて広がっている

彼は現在、新しいアルバムの制作に加え、都市生活者とその植物のために設計された“音のプロジェクト”にも取り組んでいる。人と植物の両方を養うための周波数を届ける作品だ。しかし、これは単なる音楽ではない。それは「ケア」という概念の再構築であり、農業を神聖な営みとして再び見直す呼びかけでもある。ハーブの知識を“代替”ではなく“祖先の叡智”として捉え直し、忘れられたものを取り戻す——焦るのではなく、愛をもって。

eejebeeはよく「協働」「コミュニティ」「喜びの共有」について語る。なぜなら、これからの癒しは一人でできることではないからだ。土、音、静けさ——そして互いの存在が必要なのだ。加速し続けるこの世界の中で、《Sankofa Flora》は私たちに思い出させる。「立ち止まること」も「過去に戻ること」も、前に進むための行為であると。記憶することは、ひとつの抵抗であり、もしかすると、最もラディカルな行為とは、“種を植え、耳を澄ませること”なのかもしれない。

eejebee

eejebeeは、ソングライティング、音楽制作、サウンドデザイン、オーディオブランディング、社会的インパクトなど、複数の領域を横断するマルチクリエイター。音楽・アート・カルチャー・社会活動の交差点で「音を通して物語を語る」ことをテーマに、世界各地を旅しながら創作を続けている。これまでにマーベル映画の音楽制作にも関わり、恵まれない若者たちの支援や、祖先とのつながりを重視した活動を行っている。これまで共作・コラボレーションしたアーティストには、スティーヴ・マックイーンMBE、SAULT、FKJ、リトル・シムズ、クレオ・ソル、トム・ミッシュ、ゲッツ、ヤズミン・レイシーなどがいる。

Photos by Patrick Carlo Bangit

Edited by Ena Cuizon

Translated by Shingo Eto