直感で描くガールフッド ― V?が問いかけるアート
Interview

直感で描くガールフッド ― V?が問いかけるアート

直感がかたちとなり、ガールフッドが矛盾としてひらかれる世界へ。

Interview

直感で描くガールフッド ― V?が問いかけるアート

直感がかたちとなり、ガールフッドが矛盾としてひらかれる世界へ。

直感で描くガールフッド ― V?が問いかけるアート

V?のはじまり

彼女がそれを初めて目にしたのは16歳のときだった。エレベーターの壁に描かれたシンプルなVの記号。矢印のように下を指していた。その何かに心惹かれた彼女は、写真を撮り、キャプションに「?」を付けて投稿した。静かな直感の一瞬が、やがて彼女のシグネチャーとなる。ヴァネッサ、またの名をVは、自らの作品に同じ「V?」を刻む。それは、アイデンティティを常に新しい形で問い続ける「開かれた問い」としての象徴になった。

心理学から絵画へ

パンデミック初期、Vは心理学と哲学を学び、心理士になる道を歩んでいた。しかし、ロックダウンの静けさが予期せぬ空白を生み、その空白の中で彼女は絵を描き始めた。当初は静かな逃げ場だったものが、やがてより意図的なものへと成長していく。現実的でも学術的でもある必要はなく、自由な感覚に身を委ね、論理ではなく直感で描くことを選んだ。彼女にとってアートへの道は、構造のない自由の出口となった。

「ただの直感だった」 と彼女は語る。その静かなプロセスが、いまの彼女のスタイルの基盤となった――予測不可能性を拒み、自発性を受け入れ、矛盾を歓迎するスタイルへと。

色は言語

V?にとって色は単なる視覚的選択ではなく、彼女の言語そのものだ。子どものようなパステルや鮮やかな色に惹かれながらも、くすんだアースカラーを予期せぬ組み合わせで重ねる。彼女の作曲ルールはひとつだけ。「論理的すぎる」と感じたら、必ず逆方向へ進むこと。「必ず二番目か三番目のアイデアを選ぶ」と彼女は言う。「自分を驚かせる必要があるんです。」その結果生まれるのは、自発的でありながら意図的、抽象的でありながら現実に根差す作品。遊びと崩壊、静と感情という張りつめた対立を映し出すものとなる。

優しさと空虚

この美学は、彼女が好むビジュアル空間――色あせたタイルや剥げた壁画が残る廃れた銭湯――に最も明確に表れている。「そこには優しさや思いやりの感覚がある」 と彼女は言う。「人々が自分をいたわるためにつくられた場所。でも同時に、置き去りにされている。そこには遊び心もあるけど、空虚さもある。私の作品はそんな感じなんです。」
彼女のアートは、柔らかさと生存を同時に抱え、暗さと明るさの両方に美を見出すことを描いている。

東京での発見とガールフッド

初期の作品は抽象が中心だったが、東京での6か月のレジデンシーが彼女の実践を新しい方向に押し進めた。そこで彼女はシルクスクリーンを学び、平面的な2Dフォーム――ハローキティやウィンクス・クラブなど、少女時代のノスタルジーを呼び起こすアイコン――に魅了されていった。
「それが私のガールフッドへの感覚を形づくった」と彼女は語る。「あの時代のアニメーションや2000年代初期の美学は、親密さの言語のように感じられた。」遊びのような引用から始まったものが、やがてアイデンティティやセルフケア、女性性の探求へと発展し、21世紀を生きる「女の子」であることの感情的風景を描く大きな作品群へとつながった。

ガールフッドの矛盾と表現

「ガールフッドはピンクで柔らかいものだけじゃない」 と彼女は言う。「矛盾に満ちているんです。」
彼女のニューヨークでの次回展覧会では、その複雑さをさらに掘り下げる。親密さや記憶、「なりゆく」ことの静かな混沌をテーマに。平面的なキャラクター、意外性のあるパレット、ネガティブスペースの使い方を通して、言葉にはされないが深く感じられるものを掬い上げる。
彼女が影響を受けたのは、新海誠のように幻想的な風景と優しい感情を両立させる監督や、村上隆が提唱した「スーパーフラット」の運動。また、日本の伝統的な水墨画(墨絵)を学んだ経験も、シンプルさの力を信じる姿勢を強めた。

墨絵から学んだシンプルさ

「墨絵では、できるだけ少ないものでできるだけ多くを語ろうとする」 と彼女は言う。「私はその考え方を自分の作品に取り入れました――少なくして、より多くを語る。」
彼女が展覧会で示そうとしている現代のガールフッド像は、繊細さ、直感、そして矛盾の重なり合いの上に成り立っている。彼女の世界では、アイデンティティはひとつに固定されることはない。色は言葉では語れない物語を語り、もっとも遊び心あるシンボルでさえ重みを持つ。キャンバスの隅に描かれるV?は、かつては思春期の好奇心から始まったが、今では招待状だ。感じることへの。問いかけることへの。言葉にされないものの中に意味を見つけるための。

Photos by Patrick Carlo Bangit

Edited by Ena Cuizon

Interview by Teiji Koyano