Perfect Failures – Lucas Lecacheur
Art

Perfect Failures – Lucas Lecacheur

サーフが彫刻となり、失敗が自由となるルーカスの世界へ。

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Perfect Failures – Lucas Lecacheur

サーフが彫刻となり、失敗が自由となるルーカスの世界へ。

Perfect Failures – Lucas Lecacheur

WPÜのギャラリーを満たすのは、柔らかなオレンジの光。コンクリートの無機質な空間をそっと包み込み、ルーカスの作品を親密で詩的な空気感の中に引き立てます。静かに、そしてしっとりと——。まるでこの場にだけ漂う静謐なリズムを感じさせるように。

黒と白のサーフボードがギャラリーのあちこちに置かれている。壁に掛けられたもの、床にそっと立てかけられたもの、丁寧に横たえられたもの——樹脂とファイバーグラスで成形されたサーフボードは、使うための道具であると同時に、まるで彫刻のように目で楽しむための存在でもある。まるで別世界からやってきたオブジェのように、海とギャラリー、どちらにも属する作品である。

近くには、The White Fin Projectの写真がプリントされたシャツが並んでいる。白いサーフフィンを世界の思いがけない場所や物に置くというルーカスの継続的な実験の記録である。テーブルの上には、彼の最新刊が静かに積まれている。デザイン、哲学、そしてパンクをつなぐループを閉じるように。

ルーカスはもちろん、この日を飾る装いである。カウボーイブーツにレザージャケット。ギャラリーの光を受けて輝くサングラス。彼の存在そのものが展示の一部であり、あるいはその中心なのかもしれない。

私は、シェイピングという作業をロマンチックにとらえて、アートパフォーマンスのように昇華させる傾向があるんです」と彼は語る。「必ずしも心地よいわけではない。でも、いつだって本物なんですよ。

音楽、反逆、そして美しい失敗の自由から生まれた実践——「Perfect Designs」へようこそ。

サーフボードの前に、ステージがあった。ルーカスの創造的な人生はスタジオから始まったのではなく、ノイズの中から始まった。ギター、モッシュピット、ロックスターになるという夢。11歳で最初のバンドを結成し、12歳でフェスティバルに出演していた。彼が追いかけていたのは音楽だけではなく、自由、表現、そして自分でコントロールできる混沌という感覚だった。2019年、ルーカスはBad Pelicansのメンバーとしてシアトルへ飛び、アルバムをレコーディングした。その年の3月、大きな会場でのライブをソールドアウトさせた。その後まもなく、別のプロジェクト「It’s Sunday」でツアーに出ていた矢先に、フランスでパンデミックが発生。ライブ音楽の未来は突如として不確かなものになった。ある夜、ルーカスは紙におかしなサーフボードを描き、バンドメイトで親友のフェルナンドに送った。ふたりはそのアイデアに笑い、冗談半分で「それを本当に作ってしまおうか」と思いついたのだった。翌日、ルーカスはスーツとサングラス姿でフェルナンドにビデオコールをかけ、バットテールの形を思い描きながら壊れたボードに彫刻を施し始めた。

冗談のつもりだったことが、やがて火花になった。「私は失敗を愛しているんです」と彼は語る。

「多分、私のすべての作品は完璧な失敗作なのかもしれない」と彼は続ける。

Perfect Designs は計画から生まれたのではない。

Perfect Designs は計画から生まれたのではなく、答えとして、そして続きとして生まれた。ステージがなくなっても、ノイズを生み出し続ける方法として。

ルーカスは動き続けていた。音が消えたとき、彼は別の何かを手に取り、形を与え始めた。サーフボードをスケッチし、手作業で削り出す。設計図はない。あるのは直感と、作品が自由に進化する余地だけだ。スケッチして、削って、引いてみる。ボードがすぐに語りかけてこなければ、いったん離れ、また戻る。大事なのは速さではなく、耳を澄ませること。「何も決まっていない」と彼は言う。「プロセスを信じている」と。

シェイピングは音楽と同じく、一種のパフォーマンスになった。まるで地球最後の日に臨むかのように、結婚式か葬式か、その日の気分で装う。サント・マリーで宗教儀式に囲まれて育った彼は、その意図をものづくりにも持ち込んでいる。パステルカラーの夢や商業的な洗練で満ちたサーフの世界の中で、ルーカスの世界は埃っぽく、剥き出しで、筋書きのないものだ。彼はそうした既成のシステムをなぞろうとはしない。

彼の創造力は、どこかの機関で生まれたものではない。周りの人たちから生まれたものだ。両親はアーティストではなかったが、感受性はあった。弟とともに、音楽やアート、あらゆるものを分かち合って育った。その近さはいまも彼の軸だ。ここにあるのはドラマチックな反抗物語ではない。距離も断絶もない。ただ支えがあった。「愛に囲まれている」と彼は言う。「そのことに、ずっと感謝している」と。

その感情は、音楽の中でさらに深く流れ込む。自分を育ててくれた人たちや、かつての自分自身への静かな手紙のような歌が多いのだ。

25歳のときに Perfect Designs を立ち上げたルーカスにとって、それは大人としての始まりのように感じられた。作品は進化していくが、「昔の自分を誇りに思わせたい」というその思いは変わらない。彼にとって、作品をシェアすることは作品づくりの一部である。「作品は世に出て初めて存在する」と彼は語る。大事なのは手放すこと。表現こそすべてだ。サーフィンはスポーツというより、彼にとっては素材であり、インスピレーションやユーモアを注ぎ込む媒体だ。ボード、シャツ、映像、パフォーマンス——すべてが語りかける。彼は伝統を守ろうとしているわけではない。未来のサーフィンのかたちをつくろうとしている。

彼は遺産に興味があるのではない。まだ来ていない“次の波”のためにデザインしているのだ。世界が精密さを追い求める中で、ルーカスは未知への忠実さを貫く。計画も地図もない。ただ次のボード、次のアイデア、そして再び始める自由だけを大事にしている。

Lucas Lecacheur (Perfect Designs)

パリのアンダーグラウンド音楽シーン(Bad Pelicans、It’s Sunday、ソロプロジェクトの Château Rouge)で悪名を轟かせた後、彼は過激なサーフレーベル〈PERFECT DESIGNS〉を設立し、その独自のスタイルと革命的な美学は世界中のサーフカルチャーを再定義しつつある。

Photos by Patrick Carlo Bangit

Edited by Cuizon Ena