LAMPPOST: 夜道に灯る、生き方の光をたどって
Interview

LAMPPOST: 夜道に灯る、生き方の光をたどって

生き方は、進む方向をそっと照らす灯りのようなもの。

Interview

LAMPPOST: 夜道に灯る、生き方の光をたどって

生き方は、進む方向をそっと照らす灯りのようなもの。

LAMPPOST: 夜道に灯る、生き方の光をたどって

人生は、どこまでも続く夜道のようなものかもしれない。はっきりとした正解はなく、それでも人は、それぞれの灯りを頼りに進んでいく。その灯りは、誰かの生き方であり、言葉であり、選択の積み重ねなのだと思う。そんな「生き方の光」をたどるように活動を続ける、LAMPPOSTを主宰するAnnie Lena Obermeierさんに、これまでの歩みや「人生の創造性」についてお話を伺った。

バンライフを始めたきっかけ

なぜバンライフを始めたのでしょうか?

当時、お付き合いしていた方と父島に旅行に行く予定でした。でも、旅に出る前に別れてしまって。飛行機もホテルも、空いた時間もお金も、そのまま残ってしまったんです。それならこれは自己投資に使おうと思って、「2週間あったら何ができるだろう」と考えたときに、免許合宿だ、と思って新潟に行きました。

免許は、旅をしたくて取ったんです。どこかに拠点を構えたかったけど、その土地が自分の肌感に合うかはやっぱり、自分で体験してみないとわからない。見たことのない景色、聞いたことのない音、会ったことのない人もたくさんいる。だったら、移動できる家があればいいんじゃないか。そう思ったのが、バンライフの始まりでした。失恋してつらかったというのもあって、とにかく動きたかったんです。自分だけじゃなく、環境ごと動かしてしまおうと思った。それがきっかけです。

LAMPPOSTという名前について

「LAMPPOST」という名前には、どんな意味が込められているのでしょうか?

夜道を旅するようなものだと思っていて。夜道を歩くときって、光を頼りに景色を見たり、進む方向を確かめたりすると思うんです。大学時代の私は、たくさんの光が同じ方向に輝く道というか、ある程度行き先が決まったレールの上にいる感覚がありました。受験競争があって、大学を出たら就職があって、その延長線に人生があって。

それも素晴らしいことだとは思うけど、でも、ある時、私が絶対だと思っていた道以外も存在することを知ったんです。本当は自分が知らないだけで別の道があるんだと。その時に、他の人の人生はともしびのようなものだなと思いました。他人の人生は、私にすべてを教えてくれるわけではないけれど、別の方向にだって足を進められることを教えてくれるーそんなイメージから、LAMPPOSTという名前をつけました。

「人生の創造性」をめぐる対話のはじまり

「人生の創造性」について人に話を聞こうと思ったきっかけは何だったのでしょうか?

このテーマで人にインタビューしようと思ったのは、もともと自分自身がどう生きたいのかがわからなかったからです。

当時は、ウェルカムボードや冠婚葬祭のお祝いなど、オーダー制作の仕事を中心に生計を立てていました。お客様に依頼してもらいやすいように、自分のスタイルをある程度一つに固めなければいけないと思っていたので、ひとつの型として作品を出していたんです。でも、その中で、もっと描きたいという欲が出てきて。ちょうどその頃、京都から東京に出てきたタイミングでもあったのですが、周りを見ると、自分の作りたいものを作っている人、自分の書きたいものを書いている人、やりたいことをやっている人がたくさんいて。その姿にすごく憧れました。

誰かのためになることをするのは素晴らしいし、自分もそうしていきたいと思う。でも同時に、自分にも忠実でいたいし、そういう生き方をしたい。でも、どうしたらいいのかわからない。そもそも自分らしく生きるとは?なら人に聞いてみよう。そう思ったのが始まりです。

光に惹かれて

これまで、どんな方にお話を聞いてきたのでしょうか?

一冊の本の中に、年齢も性別もばらばらで、職業もさまざまな人がいるものを作りたいと思ったんです。そうすることで、いろいろな「光」を可視化できるものになったらいいなと思っていました。

1巻目は、友人の知り合いなど、身近なつながりから始まりました。2巻目は、全国を旅する中で出会った方々にお話を聞いています。その中には、メディアにも出ていない方、SNSもやっていない旅人の方もいました。でも、自分の生き方に対して忠実な人に惹かれる自分がいて、そういう方々に話を聞いてみたいと思ったんです。

1巻目のタイトルを「生き方は働き方」としたのは、生きることと働くことは同じだと捉えていたからです。それに対して2巻目を「人間的生き方探究録」にしたのは、「働き方の前に、まず生き方がある。じゃあ、より良く生きるにはどうしていったらいいのだろうか」という問いから取材を重ねたからです。

「正しい生き方はない」と気づいてから

「正しい生き方はない」と本にも書かれていましたが、世間の当たり前を手放した時はどのような感覚でしたか?

世間の当たり前とか、こうすべきというものって、もう自分の一部になってるから意外と気づきにくいものだと思うんです。私自身、自分で自分を縛ってきたと思います。たとえば、私がいちばん縛られていたことは、「普通になりたい」ということでした。日本で生まれ育って周りの子たちと同じ教育環境で育ってきたのに外国人のように扱われる。なんでなんだろうと、ずっと思っていましたし、ずっと怒っていました。だから私は、自分は普通であることを、周りの子と何ら変わりはないことを、誰よりも証明しようとしてきた気がします。

でも、アメリカ留学をした頃から、そもそも「普通」というもの自体が、自分で作り上げている観念なんじゃないかと思うようになりました。普通を決めているのは、自分の中にある「こうすべき」「そうしなきゃ」という思考なんだと。それに気づいたときに、ああ、自分で自分を縛っていたんだ、と気づきました。もちろん、気づいたからといって、すぐにその縛りが解けるわけではないです。でも、見えなかったものが見えるようになるのは、すごく大きな違いだと思っています。見えるようになったからこそ、今は何かをするときに、それは「すべき」だからやろうとしているのか、それとも「したい」からなのかを、自分に問いかけるようになりました。怖いからやりたくないのか、やれない言い訳をしているのか、本当はどうしたいのか、と何度も自分に聞いています。

公開制作している絵についてもそうです。今展示している中で、入り口付近にある作品は比較的写実的で、自分が見てきたものや感動してきたものを絵にするラインナップでした。箱根で出会った自然や感動したものも描いてみようと思っていたのですが、途中でそれが「描きたい」ではなく、「描かなきゃ」になっていたことに気づいたんです。箱根で見つけた自然や感動を探さなきゃいけない、描かなきゃいけない、という感覚になってしまっていて、それは本当に自分がやりたいことなのかと言われると、少し違っていた。

今はもっと抽象的に、写真を見て再現するのではなく、自分自身が気持ちよくなれるものを作りたいと思って、挑戦しています。

これまでの自分に感謝したいこと

2巻目に書かれていた「これまでの自分に感謝したいこと」という質問に対して、Annieさん自身はどのような感情を持っていますか?

この質問は1巻にはなくて、2巻目で生まれた質問なんです。自分の中では、感謝という感情はひとつの基準になっています。景色を見ているだけで、「ありがとう」と言葉が漏れる瞬間があって。そういう気持ちを抱ける場所で生きたいという思いがあります。だから、「感謝」というキーワードは自分の中ですごく大きいです。

自分自身について言うなら、やっぱり小さくても行動してきたことに感謝したいです。場所を変えることもそうだし、絵に関してもそう。変えたいと思ったら、なるべくすぐ行動するようにしてきました。もちろん、迷うこともあるし、もう描けないと思う日もあります。けれど、やっぱり私は毎日立ち上がってちょっとずつ動いてる。そういう自分に感謝したいなと思います。

本を閉じたあとに、心に残ってほしいこと

悩みを抱える人がLAMPPOSTを読み終えたとき、どんな感覚が残っていたら嬉しいですか?

誰かの真似をしてもいいと思うんです。でも、あなたはあなたしかいないし、その真似さえも、最終的には自分自身が選んでやっていることだと思います。だから、最後にはずっと自分なんだよ、ということを、どこかで感じてもらえたら嬉しいです。

もちろん、それは「こう思ってほしい」と言ったから、その通りに受け取ってもらえるものではないと思っています。受け取った人が、その人なりに何かを感じてくれたらそれでいい。言葉ひとつでもいいし、心の中にある自分の光に気づくきっかけでもいい。そんなふうに、この本が誰かに届いてくれたら嬉しいなと思っています。

アニー・玲奈・オーバマイヤー

アメリカ人の父と日本人の母の間に生まれ、京都で育つ。幼少期より絵を誰かの誕生日や節目に贈っていたことの延長で絵描きとなる。現在は車にベッドと画材を積み込み、旅をしながら創作を続けている。2023年から2024年暮れまで車にベッドと画材を積み込み、日本中を周る。2025年6月より新潟県弥彦村の国重要文化財旧鈴木家住宅のアーティスト・イン・レジデンスに参画し、2026年4月25日から6月7日まで1年間で制作した100点以上の絵画を展示している。

Photos by Ena Cuizon / Patrick Carlo Bangit

Directed by Ena Cuizon

Interview by Shingo Eto

Translated by Chiaki Katoh

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